2019年1月の鑑賞記録
◼︎映画について
1月に観た映画は下記15本。()内は監督名/製作年。特に良かったものは★付き。
2. 『アレクサンドル・ネフスキー』(セルゲイ・M・エイゼンシュテイン/1938)
3. 『メキシコ万歳』(セルゲイ・M・エイゼンシュテイン/1931)
4. 『ストライキ』(セルゲイ・M・エイゼンシュテイン/1925)
5. 『戦艦ポチョムキン』(セルゲイ・M・エイゼンシュテイン/1925)★
6. 『ローマ/ROMA』(アルフォンソ・キュアロン/2018)
7. 『女囚さそり けもの部屋』(伊藤俊也/1973)
8. 『美しき冒険旅行』(ニコラス・ローグ/1971)
9. 『地球に落ちて来た男』(ニコラス・ローグ/1976)
10. 『犯罪河岸』(アンリ・ジョルジュ・クルーゾー/1947)
11. 『殺人者(コロシ)を追え』(前田満洲夫/1962)★
12. 『ランジュ氏の犯罪』(ジャン・ルノワール/1936)
13. 『十字路の夜』(ジャン・ルノワール/1932)★
14. 『斬、』(塚本晋也/2018)
15. 『ひかりの歌』(杉田協士/2017)★
1は『仁義の墓場』(深作欣二)現代版として渡哲也が岸谷五朗に替わり、その狂演に魅せられる。5は数年ぶりに観たがモンタージュ理論という教科書的な説明抜きにひたすら面白い。11は団地映画とB級ノワールの理想的な融合。あの織田政雄の哀愁はなんだ。13は撮影・編集の異様さに戦慄。15オフスクリーンがここまで愛おしい映画は無い。
◼︎読書について
毎年初、今年は本を沢山読もうと心に誓うも、全くペースが遅い。読書家に必要な集中力が欠如しているのだと思う。
『晩春の旅/山の宿』(井伏鱒二)良かった。『水鶏』は特に好き。『貧乏まんが』(山田英生・編)が良かった。中でも『きなこ屋のばあさん』(つげ忠男)は最高。昨秋ニューヨークに行った際にメトロポリタン美術館の仮面コーナーに強く魅せられたので『仮面の道』(クロード=レヴィ・ストロース)を読んでいる(なかなか終わらない)。昔買った『新しい音楽-1945年以降の前衛』(R.スミス=ブリンドル)を久々に読み返しているがとても面白い。先人たちがいかに新しい音を獲得しようともがいてきたか譜例付きで分かり易く示されている。
◼︎音楽について
上記音楽本と関連して、新ウィーン楽派以降の現代音楽をよく聴いている。「ウェーベルン礼賛」という章があるくらい彼の影響は大きかったようで、次に「点描主義」として紹介されていたLuigi NonoのPolifonica Monodia Ritmicaが気に入った。
ウェーベルンでは特にSymphonyが好き。
ジャズの領野にも彼の影響は広がっている。
Ingrid LaubrockのSerpentines収録の"Pothole Analytics"
laubrock-intakt.bandcamp.com
John O'GallagherによるWebern Project
『地球に落ちて来た男』のラストでArtie ShawによるStardustが使われていた。映画はそこまで趣味でなかったがこれだけで満足して劇場を出られた。本当に名曲です。そういえば『恐怖の報酬』ラストではCharlie Parker with StringsのApril in Paris(だったか?)が使われてたな。
2018年ジャズ新譜ベスト20選
2018年はApple Musicの恩恵により多くの新譜を聴いた年であった。
プレイヤーとして演奏している以上やはりジャズばかり聴いてしまうが、まあしょうがない。
それにしても下記に挙げた以外にも多くの印象深い盤があり、本当に今ジャズ(と括れないほど多様化しているが)は面白いんだなと実感。
なおサブス上にあるものしか聴いていないという怠惰につき、Wayne Shorter 'Emanon'は未聴。
その上邦ジャズもほぼ聴いてない中でベスト選出というのはおこがましいが大目に見て下さい。
以下順不同。
Henry Threadgill 14 or 15 Kestra: Agg 'Dirt... And More Dirt'
Fred Hersch Trio 'Live in Europe'
CP Unit 'Silver Bullet in the Autumn of Your Years'
Jacob Bro 'Bay of Rainbows'
Tim Berne & Matt Mitchell 'Angel Dusk'
Adam Kolker & Russ Lossing (feat. Masa Kawaguchi & Billy Mintz) 'Whispers and Secrets'
Lee Konitz & Dan Tepfer 'Decade'
Ingrid Laubrock 'Contemporary Chaos Practices'
Ambrose Akinmusire 'Origami Harvest'
Myra Melford's Snowy Egret 'The Other Side of Air'
Andrew Cyrille 'Lebroba'
Bill McHenry 'Solo'
Walking Distance 'Freebird'
Brad Mehldau Trio 'Seymour Reads the Constitution!'
Subtle Degrees 'A Dance That Empties'
Mark Turner & Ethan Iverson 'Temporary Kings'
Christian Lillinger 'C O R'
The Kenny Barron Quintet 'Concentric Circles'
Makaya McCraven 'Universal Beings'
Sam Gendel & Sam Wilkes 'Music for Saxofone & Bass Guitar'
自分の偏った趣味を露呈することになるが傾向をまとめてみた。
・Ingrid Laubrockのオーケストラ交えた集団即興、Ambrose Akinmusireの弦楽四重奏とのコラボレーション、Henry Threadgillの現代音楽的語法への接近など、クラシカルなものとの融合。
・Bill McHenryの個人練を盗み聴きしてしまっているかのようなソロ、Subtle Degreesの嵐のような、Mark&Ethanの静謐な室内楽のような、Matt&Berneの錯綜しつつ美しい、Konitz&Tepferの前人未踏の域に入った、Gendel&Wilkesの心地良いグルーヴが続くデュオといった少人数での仕事。
・Fred Hersch,Brad Mehldau,Andrew Cyrilleによる卓越したトリオでのコミュニケーション。
・アナーキーなCP Unit, ドイツ的実験性と中毒性ある鋭角なドラミングを兼ね備えたChristian Lillingerの圧倒的な個性によるフリージャズ。
・Kolker/Lossing, Jacob Bro, Myra Melford, パーカーを逸脱させていくWalking Distanceのバンドでしか成し得ない独自性。
・Kenny Barron Quintetによる安心安定の新主流派的ストレートアヘッドぶり。
・Makaya McCravenの気持ち良いジャンル横断的ジャムとそのシカゴ感。大学時代好んで聴いたChicago Underground Duoやisotope217を思い出ししみじみ。Ben Lamar Gayも面白かった。
…全然まとまっていないが、上記20枚はどれも面白いので超オススメです。
2018年に観た映画
今年は320本の映画を観た。昨年の500本から180本も減少してしまったが、音楽活動に注力した割には観れたように思う。
昨年までは休日の度に名画座で2本立て+家で1本という勢いだったのだが、今年に入って映画館通いが一気に億劫になってしまった(館内でやたら神経質になった気がする)。
外界から遮断された暗闇の中で巨大な画面を見つめる、という体験価値は身に染みて分かっているつもりだが、
室内で他の客に煩わされずマイペースに観るという習慣に安住しつつある自分がいる。
新作で良かったものは以下。順不同。()内は監督名。
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